パソコンやスマホを使っていると、「エクスポート」という言葉を時々見かけませんか?
「なんとなくデータの書き出しかな?」と思っていても、似たような言葉の「インポート」や「ダウンロード」との違いを聞かれると、自信を持って答えられない方も多いかもしれません。
「データをエクスポートしてください」と言われても、具体的に何をすればいいのか分からず、戸惑ってしまった経験がある方もいるのではないでしょうか。
ご安心ください!この記事を読めば、そんなモヤモヤがスッキリ解消します。
今回は、IT初心者の方にも分かりやすいように、
- エクスポートの基本的な意味
- インポートやダウンロード、保存との明確な違い
- 「こんな時に使うんだ!」という具体的な使用例
について、親しみやすい言葉で徹底的に解説していきます。
エクスポートとは?基本的な意味を解説
まずは「エクスポート」という言葉の基本的な意味から、しっかりと押さえていきましょう。
「外にデータを持ち出す」のが基本イメージ
結論から言うと、エクスポートとは「あるソフトウェアで作ったデータを、他のソフトウェアでも使える共通の形式に変換して、外に出力(書き出し)すること」を指します。
言葉の由来は、英語の「export」です。これは日本語で「輸出する」という意味ですね。
さらに分解すると、「外へ(ex)」と「港(port)」という言葉が組み合わさっています。
これをITの世界に置き換えて、イメージしてみましょう。
- 国 → 今使っているソフトウェア(例:メールソフト、Excelなど)
- 特産品 → そのソフトで作ったデータ(例:アドレス帳、表データなど)
- 外国 → 別のソフトウェアやサービス
- 輸出 → エクスポート
ある国(ソフトウェア)で作られた特産品(データ)は、その国独自のパッケージに入っているため、そのままでは外国(別のソフトウェア)に持っていっても使えないことがあります。
そこで、外国でも使えるように、世界共通の規格の箱(汎用的なファイル形式)に詰め替えて、港から船に乗せて送り出す。この「別の場所でも使えるように、ひと手間加えて外に持ち出す」一連の流れが、エクスポートの基本的なイメージです。
なぜエクスポートが必要なのか?
では、なぜわざわざデータを「エクスポート」する必要があるのでしょうか?その主な目的は、大きく分けて以下の4つです。
- データの移行(お引越し)
古いパソコンから新しいパソコンに買い替えた時、メールソフトのアドレス帳や、Webブラウザのお気に入り(ブックマーク)を、そっくりそのまま新しい環境に移したいですよね。こんな時にエクスポート機能が活躍します。古いソフトからデータを書き出し、新しいソフトでそれを取り込むことで、簡単にお引越しが完了します。 - データのバックアップ(もしもの備え)
「パソコンが突然壊れて、大切なデータが全部消えてしまった…」なんて事態は避けたいものです。エクスポート機能を使えば、特定のソフトの中にある重要なデータを、外部のファイルとして保存しておくことができます。これがバックアップです。万が一の時も、バックアップファイルさえあればデータを元通りに復元できます。 - 異なるソフトウェア間でのデータ共有
例えば、あなたがExcelで作った売上データの表を、経理担当の人が使っている会計ソフトに取り込みたいとします。Excel独自のファイル形式のままでは、会計ソフトが読み込めないことがほとんどです。そこで、データを「CSV」という、どんなソフトでも読みやすいシンプルな形式にエクスポートすることで、スムーズにデータを共有できるようになります。 - 互換性の向上
動画編集ソフトで作成した動画も、編集中の「プロジェクトファイル」のままでは、そのソフトでしか開けません。これをYouTubeにアップしたり、友人に送ってスマホで見てもらったりするには、MP4などの誰もが再生できる一般的な動画形式にエクスポート(書き出し)する必要があります。
このように、エクスポートは、特定のソフトウェアに縛られていたデータを解放し、より自由に、そして安全に活用するための、非常に重要な機能なんです。
間違いやすい関連用語との違い
エクスポートの意味が分かったところで、次によく混同されがちな「インポート」「ダウンロード」「保存」との違いをハッキリさせておきましょう。それぞれの言葉の意味と、データの「方向性」、そして「形式変換の有無」に注目すると、違いがスッキリ理解できますよ。
| 用語 | データの方向性 | 形式変換 | 一言でいうと… |
|---|---|---|---|
| エクスポート | 内 → 外 | 伴うことが多い | 別の場所で使うために「書き出す」 |
| インポート | 外 → 内 | 伴うことが多い | 別の場所のデータを「取り込む」 |
| ダウンロード | 外 → 内 | 伴わない | ネット上のファイルを「持ってくる」 |
| 保存 | (内 → 内) | 伴わないことが多い | 作業中のデータを「記録する」 |
「インポート」との違い(対義語)
インポートは、エクスポートの全く逆の操作を指す言葉です。
- エクスポート:データを外に出す(輸出)
- インポート:データを中に入れる(輸入)
インポート(Import)の語源は「輸入する」です。つまり、外部にあるファイルやデータを、自分が今使っているソフトウェアやシステムに読み込んで利用できるようにする操作のことです。
先ほどの「データの移行(お引越し)」の例で言えば、
- 古いパソコンのメールソフトからアドレス帳をエクスポート(書き出し)する
- 新しいパソコンのメールソフトに、そのファイルをインポート(取り込み)する
というように、エクスポートとインポートは、常にセットで使われることが多い「対義語」の関係にあると覚えておきましょう。データの流れが「内から外か、外から内か」という点で、明確に区別できます。
「ダウンロード」との違い
ダウンロードも、データを自分のパソコンに持ってくるという点でインポートと似ていますが、エクスポートとは目的も性質も異なります。
ダウンロードとは、インターネット上のサーバーにあるファイル(画像、動画、PDF、アプリなど)を、形式を変えずにそのまま自分のパソコンやスマホにコピーすることです。
エクスポートとの最大の違いは、「データ形式の変換を伴うかどうか」です。
- エクスポート:他のソフトで使えるように、多くの場合形式を変換して書き出す。
- ダウンロード:サーバーにあるファイルを、形式はそのままで自分の端末に持ってくる。
例えるなら、レストランの料理をテイクアウトするシーンを想像してみてください。
- エクスポートが「お店の特製ソースを、家庭でも使いやすいように別の瓶に詰め替えて渡してくれる」イメージだとすれば、
- ダウンロードは「お店に置いてあるパック詰めのジュースを、そのままの形で買ってくる」イメージです。
データの方向性も、「外から内へ」という点でエクスポートとは逆になります。
「保存」との違い
「保存」は、おそらく皆さんが最も頻繁に行う操作でしょう。これは、ソフトウェアで作成・編集している作業内容を、ファイルとしてコンピュータ内に記録することを指します。
エクスポートとの違いは、「必ずしも形式変換を目的としていない」という点です。
例えば、Wordで文章を作成中に「上書き保存」をする場合、これはWord独自の形式(.docx)のまま、作業の進捗を記録しているだけです。これはエクスポートとは呼びません。
ただし、「保存」の操作がエクスポートと同じ役割を果たすこともあります。
Wordの「名前を付けて保存」機能で、ファイルの種類として「PDF」を選んで保存する場合がありますよね。これは、Wordのデータを他の環境でも閲覧しやすいPDF形式に「変換して出力」しているので、実質的にはエクスポートと同じことをしていると言えます。
まとめると、
- 単なる保存:今使っているソフトで、後でまた編集を再開するために、そのソフト独自の形式で記録する。
- エクスポート:今使っているソフトでの作業を終え、別のソフトや環境で利用するために、汎用的な形式に変換して出力する。
というニュアンスの違いがあります。
【具体例】エクスポートはどんな時に使う?
理屈は分かったけれど、実際にどんな場面でエクスポート機能が使われているのでしょうか?ここでは、皆さんの身近な例を4つ挙げて、具体的な使い方を見ていきましょう。
使用例1:メールソフトの連絡先やメールデータの移行
「新しいパソコンに買い替えた!でも、今までのメールやアドレス帳はどうやって移せばいいの?」
こんな時こそ、エクスポート機能の出番です。ほとんどのメールソフトには、連絡先(アドレス帳)や、送受信したメールのデータを丸ごとエクスポートする機能が備わっています。
【具体的な流れ】
- 古いパソコンでエクスポート
今まで使っていたメールソフト(OutlookやGmailなど)の設定画面から、「エクスポート」や「書き出し」といったメニューを探します。多くの場合、連絡先は「CSV形式」、メールデータは専用の形式でファイルとして書き出すことができます。 - 新しいパソコンでインポート
書き出したファイルをUSBメモリなどで新しいパソコンに移し、新しいメールソフトの「インポート」や「取り込み」機能を使ってそのファイルを読み込みます。
これだけで、面倒な手作業なしに、何百件もの連絡先や過去のメール履歴を、一瞬でお引越しさせることができるのです。
使用例2:表計算ソフトのデータをCSV形式で出力
「Excelで作った顧客リストを、会社の新しい顧客管理システムに登録したいな…」
Excelのような表計算ソフトは非常に便利ですが、そのデータ(.xlsxファイル)を他の専門的なシステム(会計ソフト、顧客管理システム、データベースなど)で直接読み込むのは難しい場合があります。
そこで活躍するのが、「CSV形式」へのエクスポートです。
CSVとは「Comma Separated Values」の略で、その名の通り、データをカンマ(,)で区切っただけの、非常にシンプルなテキストファイルのことです。このシンプルさゆえに、世の中のほとんどのシステムがCSVファイルの読み込みに対応しています。
Excelの「名前を付けて保存」メニューから、ファイルの種類で「CSV (カンマ区切り)」を選ぶだけで、簡単にエクスポートが完了します。これにより、Excelで作った大切なデータを、様々なシステムで活用する道が開けるのです。
使用例3:Webブラウザのブックマークのバックアップ
「お気に入りのサイトをたくさん登録したブックマーク、もし消えちゃったらどうしよう…」
Webブラウザに溜め込んだブックマーク(お気に入り)は、あなただけの貴重な情報資産です。パソコンの故障や、誤った操作で消えてしまう前に、定期的にバックアップを取っておくと安心です。
Google Chromeなどの主要なブラウザには、ブックマークを「HTMLファイル」としてエクスポートする機能が標準で搭載されています。
【Google Chromeでの簡単な手順】
- Chromeの右上にあるメニュー(点が縦に3つ並んだアイコン)をクリックします。
- 「ブックマークとリスト」→「ブックマーク マネージャ」を選択します。
- ブックマークマネージャの画面が開いたら、右上の管理メニュー(点が縦に3つ並んだアイコン)から「ブックマークをエクスポート」をクリックします。
- あとは、分かりやすい名前を付けてファイルを保存するだけです。
このHTMLファイルさえあれば、いつでもブックマークを復元できますし、FirefoxやMicrosoft Edgeなど、別のブラウザにブックマークを丸ごとお引越し(インポート)することも可能です。
使用例4:動画編集ソフトで完成した動画を書き出す
「頑張って編集した動画を、YouTubeにアップロードしたい!」
動画編集ソフトを使っている時、あなたが編集しているのは、カットした映像やテロップ、BGMなどの素材と「どこに何を配置するか」という設計図が記録された「プロジェクトファイル」です。このファイルは、その編集ソフトでしか開くことができません。
このプロジェクトファイルを、スマートフォンやテレビ、Webサイトなど、あらゆる環境で再生できる1本の動画ファイルに変換する作業。これも「エクスポート」と呼ばれます。(「書き出し」や「レンダリング」と呼ばれることもあります)
編集ソフトのエクスポート機能を使って、「MP4」などの一般的な動画ファイル形式を指定して書き出すことで、初めて作品が完成し、YouTubeにアップしたり、友人と共有したりできるようになるのです。
まとめ
今回は、「エクスポートとは何か?」というテーマについて、関連用語との違いや具体的な使用例を交えながら、詳しく解説しました。
最後に、この記事の重要なポイントを振り返っておきましょう。
- エクスポートとは、あるソフトのデータを、別のソフトでも使える共通の形式に変換して「書き出す」こと。
- 主な目的は、データの「移行」「バックアップ」「共有」の3つ。
- インポートは、データを「取り込む」操作で、エクスポートとは対義語の関係。
- ダウンロードは、ネット上のファイルを形式を変えずに「持ってくる」操作。
- 保存は、作業中のデータを「記録する」操作。
エクスポートは、一見すると少し難しそうな言葉に聞こえるかもしれませんが、その本質は「データを特定の場所に閉じ込めず、自由に活用するための便利な扉」のようなものです。
この扉の使い方をマスターすれば、データの移行やバックアップがスムーズになり、パソコンやスマホの活用度が格段にアップします。